戦いは、正を以って合し、奇を以って勝つ
孫子の名言
今回は、孫子の兵法の一節で名言の一つでもある「戦いは、正を以って合し、奇を以って勝つ(たたかいは せいをもってごうし きをもってかつ)」という言葉について見ていきたいと思います。
「戦いは、正を以って合し、奇を以って勝つ」の一節
およそ戦いは、正を以って合し、奇を以って勝つ。ゆえに善く奇を出だす者は、窮まりなきこと天地のごとく、竭きざること江河のごとし。
終わりてまた始まるは、日月これなり。死してまた生ずるは、四時これなり。声は五に過ぎざるも、五声の変は勝げて聴くべからざるなり。色は五に過ぎざるも、五色の変は勝げて観るべからざるなり。味は五に過ぎざるも、五味の変は勝げて嘗むべからざるなり。
「戦いは、正を以って合し、奇を以って勝つ」は、孫子の兵法の第五章「勢篇」で出てくる一節です。この「戦いは、正を以って合し、奇を以って勝つ」の一節を現代語に訳してみましょう。
「戦いは、正を以って合し、奇を以って勝つ」の現代語訳
戦いとは、正攻法を用いて敵と対峙し、奇策を巡らせて勝つのである。だから、奇策を効果的に用いる者は、天地の動きのように定まることがなく、長江・黄河の流れのように終わりがない。
終わってもまた新たに始まるのは太陽と月のようでもあり、四季の季節のようでもある。音には五つの種類しかないが、その五つの音の組み合わせは多様で聴き尽くせない。色は五つの種類しかないが、その五つの色の組み合わせは多様で見尽くせない。味は五つの種類しかないが、その五つの味の組み合わせは多様で味わい尽くせない。
これが現代語訳になります。
「戦いは、正を以って合し、奇を以って勝つ」の解説
孫子は「戦いは、正を以って合し、奇を以って勝つ」において、「敵との戦いは正攻法をもって対峙する」と言い、「奇策を使って勝利に導く」と言っています。大まかに言うなら「正攻法で戦略を立てて決して負けない状況を作り出し、いざ戦いが始まると奇策を使った戦術によって勝利を引き寄せる」のがこの一節です。ただ奇策といっても、誰も考えつかないような策ではなく基本の戦い方の組み合わせによるもので、その状況に応じて臨機応変に組み合わせることが重要です。
「勝利の方程式」のように、どんな場合でも固定の戦い方をする人がいますが、本来は戦う相手とその場の状況に合わせた戦術を考え、運用するべきと言えるでしょう。