囲師には必ず闕く
孫子の名言
今回は、孫子の兵法の一節で名言の一つでもある「囲師には必ず闕く(いしにはかならずかく)」「囲師必闕(いしひっけつ)」という言葉について見ていきたいと思います。
「囲師には必ず闕く」の一節
兵を用うるの法は、高陵には向かうことなかれ、丘を背にするには逆うことなかれ、佯り北ぐるには従うことなかれ、鋭卒には攻むることなかれ、餌兵には食らうことなかれ、帰師には遏むることなかれ、囲師には必ず闕き、窮寇には追ることなかれ。
これ兵を用うるの法なり。
「囲師には必ず闕く」は、孫子の兵法の第七章「軍争篇」で出てくる一節です。この「囲師には必ず闕く」の一節を現代語に訳してみましょう。
「囲師には必ず闕く」の現代語訳
用兵の原則は、高い丘にいる敵に向かって攻めてはならない、丘を背にして攻めてくる敵を迎え撃ってはならない、険しい地勢にいる敵と長く対峙してはいけない、偽りの退却をする敵を追ってはならない、士気の高い兵には攻撃を仕掛けてはならない、囮の兵士に攻撃してはならない、母国に退却しようとしている敵軍をふさいではならない、包囲した敵軍には逃げ道を開けておき、窮地に追い込まれた敵軍を攻撃し続けてはならない。
これが戦いの原則である。
これが現代語訳になります。
「囲師には必ず闕く」の解説
用兵の鉄則の一つとして孫子が挙げたのが「囲師には必ず闕く」です。
「囲師には必ず闕く」とは「敵は完全に包囲せず、少しだけ逃げ道を開けておく」という意味です。相手を完全に包囲すると「窮鼠猫を噛む」の状態となり、敵を殲滅できたとしても損害は無視できないものとなります。
ビジネスにおいても、相手を完全に追い詰めるのではなく逃げ道を用意することで、想定外の損害を受けずに済むことが多々あります。弱い相手だと軽く見がちですが、甘く見ず、常に「囲師には必ず闕く」ことを意識してみるようにしましょう。