人を致して人に致されず
孫子の名言
今回は、孫子の兵法の一節で名言の一つでもある「人を致して人に致されず(ひとにいたして ひとにいたされず)」という言葉について見ていきたいと思います。
「人を致して人に致されず」の一節
孫子曰く、およそ先に戦地に処りて敵を待つ者は佚し、後れて戦地に処りて戦いに趨く者は労す。ゆえに善く戦う者は、人を致して人に致されず。
よく敵人をしてみずから至しむるは、これを利すればなり。よく敵人をして至るを得ざらしむるは、これを害すればなり。ゆえに敵佚すればよくこれを労し、飽けばよくこれを饑えしめ、安ければよくこれを動かす。
「人を致して人に致されず」は、孫子の兵法の第六章「虚実篇」で出てくる一節です。この「人を致して人に致されず」の一節を現代語に訳してみましょう。
「人を致して人に致されず」の現代語訳
先に戦場にいて敵軍の到着を待ち受ける軍隊は楽だが、あとから戦場にたどり着いて、休む間もなく戦闘に入る軍隊は疲れる。したがって戦巧者は、自分が主導権を取り、相手のペースで動かされない。
敵を上手くおびき寄せることができるのは、利益を見せて釣るからである。敵を上手く遠ざけることができるのは、デメリットになることを見せて来させないようにするからである。敵が休息をとって楽にしているのであれば疲れさせ、腹いっぱいなら飢えさせ、留まっているなら動かすのである。
これが現代語訳になります。
「人を致して人に致されず」の解説
何事でも主導権を取ることは非常に大切です。主導権を取れれば自分が他の人を動かす立場になれますが、反対に相手のペースにはまると、相手に振り回されるようになる為に無駄な行動が増え、疲弊してしまいます。
相手のペースに乗らず、自らのペースに乗せることを指して、孫子は「人を致して人に致されず」と説きました。敵の考えの裏をかくことで主導権を握ることこそ、組織を疲弊させない最大のポイントと言えるでしょう。